福島第一原子力発電所事故から5年を経過して農業面で何が分かってきたのか─東大大学院農学生命科学研究科の放射能汚染調査を中心に─

書誌事項

タイトル別名
  • What Has Become Obvious from an Agricultural Perspective in These 5 Years after the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant Accident
  • 福島第一原子力発電所事故から5年を経過して農業面で何が分かってきたのか : 東大大学院農学生命科学研究科の放射能汚染調査を中心に
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抄録

2011年の福島原発事故直後から,東京大学大学院農学生命科学研究科では40~50人ほどの教員が,原発事故により飛散した放射性核種の現場における動態についての調査研究を開始した.汚染地域の8割が森林を含む農業関連地であり,その活動は現在でも継続して行われている.東京大学大学院農学生命科学研究科は,演習林,場,牧場を始めとする多くの附属施設を保有していることから,これらの施設における研究ならびに,福島県農業総合センターや市町村,地域NPOなどとの共同研究も行ってきた.これらの調査研究を通して最も重要な知見の一つは,フォールアウトは,事故当時空気中にさらされていたものの表面に強く吸着されたことである.そして,現在測定される主な核種は134Csと137Csであるものの,フォールアウトは最初に吸着した場所からほとんど動いていない.このようなフリーのセシウムの化学的挙動は通常理解されているセシウムの化学的挙動とは異なる.研究開始から5年以上が経過したが,本論文ではこの間,私共が行ってきた研究の中から,現場における放射性セシウムの動きに関する成果をまとめて紹介する.

収録刊行物

  • 分析化学

    分析化学 66 (4), 217-222, 2017

    公益社団法人 日本分析化学会

参考文献 (2)*注記

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