赤外放射光を用いた宝石サンゴ骨軸の組織構造解析

書誌事項

タイトル別名
  • Structural Analysis of Precious Coral Carbonate Layers Using Synchrotron Radiation-infrared Rays
  • セキガイ ホウシャコウ オ モチイタ ホウセキ サンゴ コツジク ノ ソシキ コウゾウ カイセキ

この論文をさがす

抄録

宝石サンゴの持続的利用と国際取引の適切な管理技術を確立するために,マイクロビームを利用した赤外放射光による分析を行い,種及び産地の相違や成長速度について解析した.粉末試料を用いた分析の結果,宝石サンゴとバンブーコーラルの赤外吸収スペクトルはカルサイト特有であり,アラゴナイト特有の赤外吸収スペクトルを示すサンゴモドキ,ハマサンゴなどとは異なっていた.また,ミッドウェー産深海サンゴの赤外吸収スペクトルはほかの宝石サンゴとは異なっていた.さらに,共肉に含まれる骨片を分析した結果,小笠原産宝石サンゴはほかの宝石サンゴとは異なる赤外吸収スペクトルを示した.宝石サンゴ各種薄片のマッピング分析を行った結果,吸光極大に周期的な変動が見られ,その周期は109.23~147.17 μmの間隔であった.これは成長に伴う年変動であると考えられ,骨軸直径が肥大する成長速度は0.22~0.35 mm year-1と推定された.本研究により,放射光赤外分光法は宝石サンゴの同定及び真贋判定と成長速度推定に有効な手法であることが示された.

収録刊行物

  • 分析化学

    分析化学 63 (7), 593-602, 2014

    公益社団法人 日本分析化学会

関連プロジェクト

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ