ESI-MSによる溶液中チタン化学種の同定と酸化挙動の評価

  • 龍前 以緒
    東京海洋大学大学院海洋科学技術研究科海洋保全学専攻
  • 田中 美穂
    東京海洋大学大学院海洋科学技術研究科海洋保全学専攻

書誌事項

タイトル別名
  • Identification of Titanium Species in Solutions and Characterization of Oxidation Behavior Using ESI-MS
  • ESI-MS ニ ヨル ヨウエキ チュウ チタン カガクシュ ノ ドウテイ ト サンカ キョドウ ノ ヒョウカ

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抄録

チタン及びチタン合金は工業品や民生品などに用いられ,その利用範囲はますます広くなっている.一方で,チタンが生体内に入った際の安全性が懸念されているが,チタンイオンの溶出過程や溶液中での状態や挙動等の基礎的な知見は得られていない.これらの情報を得るため,エレクトロスプレーイオン化質量分析法(ESI-MS)を用いて,溶液中の化学種についての測定を行い,他の手法との比較・検討を行った.三塩化チタン(TiCl3)と四塩化チタン(TiCl4)についてそれぞれESI-MSで分析したところ,主にチタンが加水分解された化学種が確認され,多量体に関しても他の手法とその存在が一致した.また,Ti3+の自然酸化と酸化剤による酸化に関して,ESI-MSと誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP-AES)を用いて分析した.この結果から時間経過にともないTi3+がTi4+に酸化し,沈殿を生成することが確認された.一方で,酸化剤を添加し,反応速度を上げることでTi4+の多量体に関しても検討することができた.このように,ESI-MSを用いることで,チタンの分子構造や酸化挙動を考察するための新たな情報が得られた.

収録刊行物

  • 分析化学

    分析化学 63 (7), 581-592, 2014

    公益社団法人 日本分析化学会

参考文献 (1)*注記

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