小児期発症冠攣縮性狭心症(coronary spastic angina:CSA)の2例―小児期発症CSAの文献的考察を含めて―

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タイトル別名
  • Coronary Spastic Angina in Two Pediatric Patients
  • Coronary spastic angina in two pediatric patients. [in Japanese]

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【背景】冠攣縮性狭心症(coronary spastic angina:CSA)は, 冠攣縮により生じる狭心症であり, 小児期発症は極めて稀とされている. 【症例1】11歳, 男児. 嘔気を伴う前胸部痛を自覚し, 入院時の心電図で有意な虚血性変化を認めなかったが, トロポニンT迅速検査が陽性であった. 入院8時間後の心電図にてV2, V3誘導でT波の陰転化を認めた. 冠動脈造影にて器質的狭窄病変を認めなかったが, アセチルコリン(ACh)負荷試験にて左前下行枝の攣縮を認め, CSAと診断した. 【症例2】14歳, 女児. 12歳時に胸痛出現し, 冠動脈造影にて器質的狭窄病変を認めず, 左室造影にて左室壁運動異常を認めなかったため, 急性心筋炎の疑いと診断された. 14歳時, 胸部違和感を自覚し, 来院時の心電図では経過観察中の所見と比較して有意な虚血性変化を認めなかったが, トロポニンT迅速検査が陽性であった. 入院後, 胸痛発作が群発し, 心電図にてII, III, aVF, V3~V6誘導でST上昇を認めた. ACh負荷試験にて, 左回旋枝と左前下行枝に攣縮を認め, CSAと診断した. 【考察】小児期発症CSAは, 発症頻度が極めて稀であり, 早期診断が時に困難な場合がある. 小児の胸痛の原因検索において, 冠動脈の器質的狭窄病変を認めなかった場合, 冠攣縮薬物誘発試験を早期に実施できるかが本症の診断, 治療および予後に大きく関与すると考えられた.

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