血栓性微小血管障害症(TMA)を呈した悪性高血圧の若年者の1例

書誌事項

タイトル別名
  • A young case of malignant hypertension complicated by thrombotic microangiopathy
  • 症例報告 血栓性微小血管障害症(TMA)を呈した悪性高血圧の若年者の1例
  • ショウレイ ホウコク ケッセンセイ ビショウ ケッカン ショウガイショウ TMA オ テイシタ アクセイ コウケツアツ ノ ジャクネンシャ ノ 1レイ

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説明

症例は20歳の男性. 生来健康であったが, 頭痛と全身倦怠感を主訴に近医を受診し, 腎機能障害, 貧血, 血小板減少, 著明な高血圧のため入院となった. 血小板減少と破砕赤血球を伴う溶血性貧血から血栓性微小血管障害症 (thrombotic microangiopathy ; TMA) を呈していたため血漿交換, ステロイド薬の投与, カルシウム拮抗薬による降圧療法を開始したが, 血漿中のvon Willebrand因子特異的切断酵素 (von Willebrand factor cleaving protease ; vWF-CP)/ADAMTS13活性が正常であったことより悪性高血圧に合併したTMAと診断した. 血小板減少と溶血性貧血は治療後速やかに改善したが, 腎不全は改善せずうっ血性心不全も呈した. 持続的血液濾過透析 (continuous hemodiafiltration ; CHDF) を行い, アンジオテンシン変換酵素阻害薬とアンジオテンシン受容体拮抗薬を併用したところ, 全身状態や腎機能障害の改善がみられた. 以後CHDFなどの血液浄化療法は不要となり外来通院となった. 回復期に施行した腎生検では細動脈内膜の浮腫性肥厚を認め, 悪性腎硬化症に合致する所見を得た. TMAの原疾患は多岐にわたり, 臨床症状だけでは鑑別がしばしば困難であるが, 本症例ではADAMTS13活性の測定が有用であったので, 若干の文献的考察を加え報告する.

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参考文献 (22)*注記

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