血液透析における穿刺技能の評価に対する因子構造

  • 鈴木 聡
    東京女子医科大学臨床工学部 東京工業大学大学院社会理工学研究科経営工学専攻
  • 伊藤 謙治
    東京工業大学大学院社会理工学研究科経営工学専攻
  • 伊藤 憲
    東京女子医科大学臨床工学部
  • 木全 直樹
    東京女子医科大学血液浄化療法科
  • 峰島 三千男
    東京女子医科大学臨床工学部
  • 秋葉 隆
    東京女子医科大学血液浄化療法科

書誌事項

タイトル別名
  • Factor structure for puncture skills in hemodialysis
  • ケツエキ トウセキ ニ オケル センシ ギノウ ノ ヒョウカ ニ タイスル インシ コウゾウ

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抄録

血液透析スタッフはバスキュラーアクセスの長期維持や患者満足度向上などのために,穿刺技術向上に研鑽を重ねている.穿刺技術に対する評価は,医療スタッフや患者など,それぞれの立場や,判断材料によって異なることが考えられる.穿刺技術を効果的に向上させるためには,患者の目から見た望ましい技能,および専門的な技能構成を明らかにすることが必要である.そのため,穿刺評価に対する患者・スタッフによるそれぞれの技能評価の因子構造を解明し,それにより総合的に判断する基礎情報を提供することを目的とする.医療スタッフおよび患者に共通の調査票を用い,37名の医療スタッフならびに116名の患者から回答を収集し,これらの患者・スタッフそれぞれのサンプルに因子分析を適用した結果,若干異なるものの類似する7因子による穿刺技能評価の因子構造を抽出した(累積寄与率は,患者,スタッフそれぞれ,60.8%,および65.5%).患者,スタッフの回答サンプルから「技能・安定感」,「接し易さ」,「誠実さ」,「技能指向」,「感染への配慮」,「患者指向」などの因子が共通して抽出された.本研究では患者・スタッフ共通の質問項目とともにスタッフを対象に必要技能に対して,より詳細な項目を含む付加的な質問に対する回答も得ている.これらの項目を含めた因子分析により,「判断力」,「観察力・思慮深さ」,「指導力」,「技術的積極性」といった,個別技能が技能評価因子として抽出された.さらに,穿刺技能の総合評価得点を目的変数,患者回答データから抽出した7つの技能評価因子を説明変数とした重回帰分析を行った結果,「技能・安定感」のみに有意な関係が認められ,その決定係数は0.928であった.これらの結果から,血液透析スタッフの穿刺技術に対して,患者はスタッフの総合的技能,穿刺時の安定感で評価していることが明らかとなった.

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参考文献 (21)*注記

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