透析導入直後に尿毒症性心外膜炎による心タンポナーデを合併した糖尿病性腎症の1例

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タイトル別名
  • Cardiac tamponade caused by uremic pericarditis in a patient with endstage renal disease due to diabetic nephropathy
  • 症例報告 透析導入直後に尿毒症性心外膜炎による心タンポナーデを合併した糖尿病性腎症の1例
  • ショウレイ ホウコク トウセキ ドウニュウ チョクゴ ニ ニョウドクショウセイ シン ガイマクエン ニ ヨル シン タンポナーデ オ ガッペイシタ トウニョウビョウセイ ジンショウ ノ 1レイ

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抄録

症例は, 39歳男性. 36歳時に硝子体出血を機に初めて糖尿病を指摘され, 以後当科で加療されていたが, 糖尿病性腎症によるネフローゼ症候群加療のため入退院を繰り返し, 次第に腎機能が低下した. 2005年5月に腸炎症状を契機に乏尿, 労作時息切れ, 下腿浮腫, 体重増加をきたし, 血清クレアチニン5.8→13.0mg/dLと急激に上昇したため, 血液透析導入目的で当科入院となった. 透析開始後, 積極的な除水にもかかわらず, 心胸比は縮小せず, 透析導入後第6病日以降血圧が低値となり, 第10病日には収縮期血圧で70mmHg前後にまで低下した. 心エコー検査にて心タンポナーデを認め, 心膜穿刺にて多量の血性心嚢液を吸引除去した. 臨床経過, 穿刺液の検査所見, 血清学的検査所見, 画像検査所見から, 尿毒症性心外膜炎と診断し, 心嚢腔の持続ドレナージと連日の血液濾過透析を行い軽快した.<br>尿毒症性心外膜炎は, 透析治療が発達した今日ではまれであるが, 急性腎不全, 慢性腎不全の透析導入期, あるいは透析不足の維持透析患者において, 心嚢液貯留を認める場合, 溢水のほか, 悪性疾患や感染症, 膠原病とともに考慮する必要がある.

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参考文献 (11)*注記

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