透析患者におけるreticulocyte hemoglobin equivalent(RET‐He)測定の臨床的有用性

書誌事項

タイトル別名
  • Clinical utility of the new parameter, reticulocyte hemoglobin equivalent (RET-He), in the diagnosis of iron-deficiency in dialysis patients
  • 透析患者におけるreticulocyte hemoglobin equivalent(RET-He)測定の臨床的有用性
  • トウセキ カンジャ ニ オケル reticulocyte hemoglobin equivalent RET He ソクテイ ノ リンショウテキ ユウヨウセイ

この論文をさがす

抄録

透析患者での鉄の充足状態の評価は適切なエリスロポエチン療法上不可欠である.そこでわれわれは,赤血球レベルでの鉄欠乏状態を的確に把握しうる指標として注目されつつある網赤血球ヘモグロビン等量(reticulocyte hemoglobin equivalent:RET-He)を透析患者で測定し,その診断的有用性,臨床的応用性に検討を加えた.RET-Heは赤色半導体レーザを光源としたフローサイトメトリー原理を搭載したXE-2100のRETチャンネルから得られるパラメータであり,フローセルを流れる細胞に対してレーザ光を照射することにより,個々の細胞からの散乱光を得ることができる.網赤血球はpolymethine dyeにより染色,蛍光強度により同定され,RET-HeはRETチャンネルから得られる散乱光強度と平均赤血球色素量との関係から算出されている.当院透析患者217名を対象として採血し,RET-Heとフェリチン,トランスフェリン飽和率(TSAT),またすでに機能的鉄欠乏の指標として確立されている網赤血球ヘモグロビン含量(CHr)を同時に測定した.さらにTSAT 20%未満もしくはフェリチン100ng/mL以下を鉄欠乏とし,鉄欠乏と推定された症例の鉄補給時のRET-Heの動態を観察した.従来の赤血球関連指数とRET-HeはSysmex XE-2100にて,CHrはADVIA120の各血算算定器を用いて測定した.透析患者における平均RET-Heは32.4pgであり,CHrとも良好な相関(r=0.873)が認められた.ROC曲線によるカットオフ値は33.1pgであった.鉄欠乏と診断された症例は鉄剤投与に対して,CHr同様,RET-Heも2週間以内に反応が認められた.RET-HeはCHrと同等の反応が認められ,赤血球レベルでの鉄欠乏の状態を把握できる鋭敏な指標である.またその測定に特定の機器を必要とせず,汎用され普及した血球分析装置により測定が可能な点で臨床上有用と考えられた.

収録刊行物

被引用文献 (1)*注記

もっと見る

参考文献 (48)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ