血中ペントシジン高値は血液透析患者の骨折既往に関与する

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タイトル別名
  • High plasma pentosidine is associated with prevalence of fractures in hemodialysis patients
  • ケッチュウ ペントシジン タカネ ワ ケツエキ トウセキ カンジャ ノ コッセツ キオウ ニ カンヨ スル

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抄録

骨折は透析患者に高頻度で発生する重大な合併症である.透析患者の骨折には年齢,性別,糖尿病,栄養状態などの因子が関連することが知られているが,それ以外に骨質の劣化が関与している可能性がある.そこで近年骨質のマーカーとして注目されているペントシジン(Pnt)とホモシステイン(Hmc)を測定し,その他の血中マーカーや骨密度とともに,大腿骨頸部および椎体骨折既往との関連を検討した.当院の血液透析患者81名を対象に血中マーカーとしてPnt,Hmc,アルブミン(Alb),クレアチニン(Cr),whole PTHを測定した.腰椎L1-L4(骨折のある椎体は除く),大腿骨近位部,橈骨33%部位の骨密度をdual-energy X-ray absorptiometry(GE社製DPX BRAVO)で測定しyoung adult meanの%で表示した.19例の骨折既往例は非骨折例よりも有意に高齢(p=0.005),Cr低値(p=0.011),whole PTH低値(p=0.020),腰椎と大腿骨近位部骨密度低値(p=0.025,p=0.001),Pnt高値(p=0.017)であった.しかしHmc,Alb,橈骨骨密度,透析歴,body mass indexは,骨折既往例と非骨折例の間に有意差を認めなかった.また性別,糖尿病の有無も骨折既往とは有意な関連を示さなかった.ロジスティック回帰分析ステップワイズ法では,骨折既往の説明変数としてCr,大腿骨近位部骨密度,Pntの3因子が選択された.以上の結果から,血液透析患者では低骨密度や栄養不良とは独立して骨質劣化が骨折の原因になる可能性が示唆された.Pntが透析患者の骨折発生の予測因子になるかどうか今後の検討が必要である.

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