東京地区のPD診療の現状

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タイトル別名
  • The present situation of medical care for peritoneal dialysis in Tokyo
  • トウキョウ チク ノ PD シンリョウ ノ ゲンジョウ

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説明

東京の血液透析(HD)のみと腹膜透析(PD)とHDを行っている218施設の医師・看護師を対象に腹膜透析診療の現状や,PDに対する意識についてアンケート調査を行い149施設より回答を得た.62施設のPD患者数は796名,併用療法を含め1,012名であった.そのうち臨床情報が得られた788名の現況は,男473,女315名,年齢56.7±16.3歳,PD歴36.6±35.6か月,原疾患では糸球体腎炎,糖尿病,腎硬化症の順であった.PD導入が増加・横ばい・減少としたPD施設はほぼ同数で,増加理由は充分なインフォームドコンセント(IC),PDを行える医師の着任,HD併用療法の導入などであり,減少理由はEPS合併の危惧,PD専門医の不在などが原因にあがった.保存期の腎代替療法のICについてHDのみ施行施設と両者を施行施設(PD/HD施設)について質問し回答が得られた施設のうち,HDのICは両施設の90%前後が行っていたが,PDおよび腎移植についてはHD施設で各々41.1%・45.2%,PD/HD施設で各々75.8%・64.9%が行っているとの回答であった.HD施設ではPD診療を行わない理由は院内体制の不備など非医学的理由をあげる回答が179回答中108回答あった.PD導入の実態については,血清クレアチニン値8mg/dLの時期が多く,入院で導入し,カテーテル植え込み術施行は外科医,術者と指導管理者が異なるという施設が多かった.導入期や維持期に医療連携を行っている施設は約15%に留まった.PD診療に関わるスタッフ人数は医師,看護師数とも1職場あたり1~3人弱と少人数であった.PD看護師の仕事内容は多岐にわたり,教育体制はいまだ不十分であった.今回のアンケートの結果,PD診療における診療体制,医療連携,スタッフ教育が不十分であり,これらが保存期の腎代替療法の偏ったICやPD導入の低さにつながっていると考えられた.

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