インスリンからGLP-1アナログ(リラグルチド)へ切り替えた2型糖尿病透析患者の記述疫学的検討

書誌事項

タイトル別名
  • An examination of switching from insulin to glucagon-like peptide-1 analogue liraglutide in hemodialysis patients with type 2 diabetes: A descriptive epidemiology study
  • インスリン カラ GLP-1 アナログ(リラグルチド)ヘ キリカエタ 2ガタ トウニョウビョウ トウセキ カンジャ ノ キジュツエキガクテキ ケントウ

この論文をさがす

抄録

目的:透析患者の血糖管理にはインスリン以外の選択肢が乏しく,内因性インスリン分泌が保持されていても,やむを得ずインスリン使用している症例が存在する.1日1回の皮下注射で投与するGlucagon like peptide-1受容体作動薬リラグルチドは血糖依存性のインスリン分泌を促すことから低血糖をきたしにくく,透析患者の血糖管理に安全・有用である可能性がある.インスリンからリラグルチドへ切り替えが可能であれば低血糖や注射回数が減るなどのメリットがあると考えられるが,その報告はまだ少ない.われわれはインスリンからリラグルチドへの切り替えを行った2型糖尿病透析患者の臨床情報を集計・解析した.対象と方法:[研究デザイン]単施設における記述疫学的研究(症例集積研究).[対象]2010年9月~2011年4月の平和台病院外来透析患者48名のうち,食事負荷試験にて空腹時血清C-peptide immunoreactivity(s-CPR)1.0 ng/mL以上,かつ食後2時間s-CPR 4.0 ng/mL以上でインスリン使用中の2型糖尿病患者10例.[主な要因]インスリンからリラグルチドへの切り替え.[主な評価項目]切り替え3か月後のグリコアルブミン(GA)値.結果:10例中3例が吐気・嘔吐のため,2例が高血糖のためリラグルチド中止となった.1例で症候性低血糖を認めたが補食で速やかに改善した.リラグルチド継続が可能であった5例では,GA値は切り替え時の21.8±3.3%から切り替え3か月後には19.6±1.9%へと低下していたが有意差は認めなかった.結論:吐気・嘔吐が出現しやすい可能性があり慎重投与が必要だが,内因性インスリン分泌が保持された2型糖尿病透析患者において,インスリンからリラグルチドへの切り替えは一つの選択肢となり得ると考えられた.

収録刊行物

参考文献 (27)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ