WHO分類に基づく胸腺腫切除例の臨床的検討

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  • Clinical Investigation of Resected Patients with Thymoma Based on the WHO Classification

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抄録

目的.胸腺腫の治療におけるWHO分類の有用性について検討した.対象と結果.1990~2005年までに胸腺腫で切除を受けた51例(男性30例,女性21例)で,WHO分類別では,Type A-1例(2.0%), AB-18例(35.3%), B1-16例(31.4%), B2-11例(21.6%), B3-5例(9.8%)であった.なお,Type Cは本検討から除外した.正岡病期分類とWHO分類との関係は,病期I/II期ではType A/AB/B1群が81.1%を占めたのに対し,病期III/IV期ではType B2/B3群が64.3%を占めた.全症例の5年および10年生存率は,それぞれ90.8%,81.4%で,組織分類別にはType A-100%,100%,AB-100%,90%,B1-88.9%,88.9%,B2-83.3%,41.7%であり,Type B3は4年生存率で66.7%であった.Type A/AB/B1群とType B2/B3群の5年生存率は順に95.7%,77.4%,10年生存率は89.7%,38.7%となり,有意差はなかったが,Type B2/B3群が予後不良な傾向を認めた.完全切除47例中6例(12.8%)に再発を認めた.再発した6例はType A/AB/B1群34例中の1例(2.9%)に対し,Type B2/B3群では13例中5例(38.5%)と高かった.また,病期I/II期に限ると,Type A/AB/B1群とType B2/B3群間に予後に差はなかったが,病期III/IV期では,Type B2/B3群の予後がType A/AB/B1群よりも有意に不良であった(p=0.03).結論.WHO分類をType A/AB/B1とType B2/B3の2群に分ける方法は,胸腺腫切除例の再発および予後をみる上で有用であり,正岡分類の病期III/IV期においてWHO分類を行う意義が大きいと考えられた.<br>

収録刊行物

  • 肺癌

    肺癌 47 (6), 717-721, 2007

    特定非営利活動法人 日本肺癌学会

参考文献 (20)*注記

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