病理学的に偽中皮腫性発育を示した肺腺癌の1剖検例

  • 丹保 裕一
    独立行政法人国立病院機構金沢医療センター呼吸器科
  • 北 俊之
    独立行政法人国立病院機構金沢医療センター呼吸器科
  • 木部 佳紀
    独立行政法人国立病院機構金沢医療センター呼吸器科
  • 笠原 寿郎
    金沢大学大学院細胞移植学呼吸器内科
  • 藤村 政樹
    金沢大学大学院細胞移植学呼吸器内科
  • 中尾 眞二
    金沢大学大学院細胞移植学呼吸器内科

書誌事項

タイトル別名
  • An Autopsy Case of Pseudomesotheliomatous Adenocarcinoma of the Lung

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抄録

背景.偽中皮腫性肺癌(pseudomesotheliomatous carcinoma of the lung:PMCL)は,臓側胸膜へのびまん性浸潤を特徴とし,組織学的に末梢性肺癌であることが確認されるものと定義される.今回我々はPMCLと診断した1剖検例を経験したので報告する.症例.71歳男性.2003年5月右胸痛,呼吸困難を主訴に外来受診し,胸部単純写真にて右側胸水を認め,入院となった.胸水細胞診にて腺癌細胞が検出され,全身検査の結果,肺腺癌(cT4N3M0 stage IIIB)と診断した.胸腔ドレナージ後,化学療法を繰り返し行ったが,診断から16ヶ月の経過で腫瘍死した.剖検の結果,右肺内には腫瘍性病変を認めなかったが,肺全体を取り囲むように胸膜は肥厚していた.臓側胸膜に沿った部位に癌組織を認め,免疫染色にてCEA, TTF-1陽性,calretinin陰性,であり,PMCLと診断した.結論.肺内の原発巣が不明な悪性胸水の症例においては,PMCLも念頭におき,胸水細胞診のみではなく可能な限り免疫組織学的検査も行うことが必要であると考えられた.<br>

収録刊行物

  • 肺癌

    肺癌 46 (2), 145-150, 2006

    特定非営利活動法人 日本肺癌学会

被引用文献 (3)*注記

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参考文献 (21)*注記

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