乳腺に発生した結節性筋膜炎の1例

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タイトル別名
  • A case of nodular female breast fasciitis

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背景 : 結節性筋膜炎は, 皮下深部に好発する線維芽細胞の増殖を主体とした反応性増殖性病変である. 約半数は上腕から前腕にかけて発生し, 乳腺領域には非常にまれである. 今回われわれは穿刺吸引細胞診および切除生検により結節性筋膜炎と診断した 1 例を報告する.<br>症例 : 57 歳, 女性で, 3 週間前より左乳腺腫瘤を自覚して来院した. 左乳腺 AB 領域に約 4 cm 大の可動性良好な腫瘤を認めた. マンモグラフィーでは, 病変は, 比較的境界明瞭で内部は均一, 分葉状であり, 娘結節を認めた. 葉状腫瘍の疑いで穿刺吸引細胞診が施行された. 穿刺吸引細胞診では少量の異型の弱い乳管上皮細胞とともに軽度の核異型を呈する線維芽細胞様細胞が多数採取され, 線維腺腫や葉状腫瘍を疑った.<br>病理組織学的には背景に間質性粘液を伴って幼弱な線維芽細胞が錯綜して増殖し, 免疫組織化学的染色では, 増生細胞はアクチン陽性, Kp1 陽性, デスミン弱陽性, CD34 弱陽性であった. これらの所見と臨床経過から, 結節性筋膜炎と診断された.<br>結論 : 乳腺の穿刺吸引細胞診において, 多数の非上皮性成分が採取された場合, 線維腺腫, 葉状腫瘍とともに結節性筋膜炎も鑑別診断の一つにあげる必要がある.

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