乳腺筋上皮癌の 1 例

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  • Myoepithelial carcinoma of the breast—A case report—
  • Myoepithelial carcinoma of the breast^|^mdash;A case report^|^mdash;

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背景 : 乳腺に発生したまれな筋上皮癌の 1 例を報告する.<br>症例 : 70 代, 女性. 右乳房の 1.5 cm 大の腫瘍に対し穿刺吸引細胞診が施行された. 2 相性を欠き結合性を有する多辺形の異型上皮集塊がみられたため悪性判定とし, 乳管癌を推定した. 切除組織では豊富な粘液基質内に類円形∼星芒状の腫瘍細胞が増殖する部分, 異型紡錘形細胞が間質線維増生を伴い増殖する部分および腺管様∼偽血管腔様構造をとり浸潤増殖する部分が混在してみられた. 免疫染色では腫瘍細胞は種々の筋上皮細胞マーカーに陽性を呈し, 筋上皮癌と診断した.<br>結論 : 筋上皮癌およびその鑑別にあがる特殊型乳癌の多くは, ER, PgR, HER2 陰性のいわゆる “triple negative cancer” と認識されており, ER, PgR に陽性を呈する luminal type および HER2 に陽性を呈する HER2 type の乳癌と比して予後不良とされ, その細胞診断での鑑別および組織推定は重要と考える. 本例細胞像の後方視的な検討からは, Giemsa 染色での異染性間質粘液成分を詳細に観察すること, さらに腫瘍性筋上皮の細胞多彩性を念頭に置くことが組織推定のうえで重要と思われた.

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