充実性増殖形態を示す solid-pseudopapillary neoplasm of the pancreas の 1 例

  • 長山 大輔
    社会医療法人雪の聖母会聖マリア病院病理科
  • 塚本 孝久
    社会医療法人雪の聖母会聖マリア病院病理科
  • 内藤 嘉紀
    社会医療法人雪の聖母会聖マリア病院病理科
  • 伊藤 園江
    社会医療法人雪の聖母会聖マリア病院病理科
  • 大田 喜孝
    社会医療法人雪の聖母会聖マリア病院病理科
  • 西田 直代
    社会医療法人雪の聖母会聖マリア病院病理科
  • 檜垣 浩一
    社会医療法人雪の聖母会聖マリア病院病理科

書誌事項

タイトル別名
  • Cytopathological findings of solid-growth type solid-pseudopapillary neoplasm of the pancreas

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説明

背景 : まれに嚢胞成分が少なく充実性増殖形態が主体の solid-pseudopapillary neoplasm of the pancreas (solid-growth type SPN ; sSPN) が経験されることがある. その細胞像の特徴を把握することは, 今後症例数が多くなると予想される膵腫瘍細胞診で重要であるが, 細胞形態学的特徴を報告した論文は少ない. そのため, 今回, われわれは sSPN の細胞形態学的評価とともに, 膵内分泌腫瘍 (pancreatic neuroendocrine tumor ; PNET) との細胞形態学的, 免疫細胞化学的比較検討を行った.<br>症例 : 16 歳・女性. 膵尾部に嚢胞形成を伴わない石灰化を伴った腫瘤性病変を認め, 膵尾部切除となった. 捺印細胞像は, 出血性背景に腫瘍細胞は孤立散在性または結合性の弱い細胞小集団として出現していたが, 明瞭な偽乳頭状パターンは捉えられなかった. 肉眼所見は, 充実成分からなる腫瘍性病変で, 病理所見は充実性シート状増殖形態で, 偽乳頭増殖構築は目立たなかった. PNET との細胞形態学的比較では, 核所見に着目したところ, sSPN は「均一な大きさで切れ込みを有し, クロマチンパターンは微細顆粒状」, PNET は「大小不同で切れ込みはなく, クロマチンパターンは salt-and-pepper 状」の違いがみられ, 免疫細胞化学染色では, sSPN は vimentin (+), CD10 (+), synaptophysin (−), chromogranin A (−) となり, PNET と明確な違いがみられた.<br>結論 : 核所見, 特に「クロマチンパターン」に着目し, 「vimentin, CD10, synaptophysin, chromogranin A」の免疫細胞化学染色を併用することで診断の向上につながると考えられる.

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参考文献 (19)*注記

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