福祉用具の有効性に関する介護作業負担の比較研究  ―福祉用具使用の有無および作業姿勢の適正―

書誌事項

タイトル別名
  • A Validation Study of Devices Designed to Reduce Loads in Provision of Care: Whether These Assistive Devices are Used, or Not, and Whether Work Posture is Appropriate or Not
  • フクシ ヨウグ ノ ユウコウセイ ニ カンスル カイゴ サギョウ フタン ノ ヒカク ケンキュウ フクシ ヨウグ シヨウ ノ ウム オヨビ サギョウ シセイ ノ テキセイ
  • ―福祉用具使用の有無および作業姿勢の適正―

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抄録

福祉用具の有効性に関する介護作業負担の比較研究―福祉用具使用の有無および作業姿勢の適正―:冨岡公子ほか.奈良県立医科大学 地域健康医学教室―わが国は既に高齢社会を迎えているが,介護労働者に作業関連性筋骨格系障害が多発し,介護現場では福祉用具の普及が進んでいない.福祉用具の有効性を検証するために,介護者の身体負担について福祉用具導入の有無に加え,その使用方法および作業環境の要因から検証することを目的に本研究を実施した.5名の女性を被験者とし,上腕二頭筋および僧帽筋(以下上肢)と脊柱起立筋L3-4間(以下腰部)の表面筋電図測定および上体傾斜角の測定を行った.また,介護者の自覚的作業強度と被介護者の不満度を評価した.1.仰臥位の被介護者をベッド上で頭側に位置修正する介助作業(位置修正),2.端座位の被介護者をベッドから車椅子に移乗する介助作業(移乗)の2つについて,福祉用具の有無,その使用方法,並びに作業環境を考慮した5つの作業条件を設定した.95%ile値を代表値とした.表面筋電図測定においては,全測定部位において,位置修正および移乗ともに,正しく福祉用具を使用した条件では,人の手による介助より有意な負担軽減効果が認められた.そして,用具を使用しても適切な使用方法でない場合,上肢の負担軽減につながっていなかった.上体傾斜角においては,正しく福祉用具を使用した条件では,人の手による介助だけでなく,適切な使用方法でない場合やベッドの高さが低い場合と比較しても,有意な負担軽減効果が認められた.主観的評価では,介護者の自覚的作業強度と被介護者の不満度において,人の手による介助は,正しく福祉用具を使用した条件と比較して,有意な増悪を認めた.本研究から,福祉用具を使用するだけでなく,使用方法や作業姿勢の指導を行うこと,作業環境を整備することが,より有効な介護労働者の負担軽減や作業関連性筋骨格系障害予防に重要であるというが示唆された.<br> (産衛誌2007; 49: 113-121)<br>

収録刊行物

  • 産業衛生学雑誌

    産業衛生学雑誌 49 (4), 113-121, 2007

    公益社団法人 日本産業衛生学会

被引用文献 (5)*注記

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参考文献 (38)*注記

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