職場環境改善のためのメンタルヘルスアクションチェックリストの開発

  • 吉川 徹
    財団法人労働科学研究所研究部ヒューマンケアサービス研究グループ
  • 川上 憲人
    東京大学大学院医学系研究科精神保健学分野
  • 小木 和孝
    財団法人労働科学研究所研究部ヒューマンケアサービス研究グループ
  • 堤 明純
    産業医科大学産業医実務研修センター
  • 島津 美由紀
    ソニー株式会社産業保健部
  • 長見 まき子
    関西福祉科学大学健康福祉学部
  • 島津 明人
    東京大学大学院医学系研究科精神保健学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Development of a Mental Health Action Checklist for Improving Workplace Environment as means of Job Stress Prevention
  • ショクバ カンキョウ カイゼン ノ タメノ メンタル ヘルス アクション チェック リスト ノ カイハツ

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抄録

職場環境改善のためのメンタルヘルスアクションチェックリストの開発:吉川 徹ほか.財団法人労働科学研究所研究部ヒューマンケアサービス研究グループ―職場のメンタルヘルス向上を目的とした職場環境等の改善のためのアクションチェックリスト(Mental Health Action Check List,以下MHACL)を開発した.ストレス対策一次予防における職場環境改善等の進め方と意義について検討した.3つのステップによりMHACLを開発した.(1)文献レビューと改善事例の収集と分類,改善フレーズの作成とMHACLのひな型作成,(2)産業現場への適用と産業保健スタッフ等を含むワークショップによる試用,(3)改善フレーズの見直しと改善領域の再構成を行って,広く職場で使える改善アクション選定チェックリストとして提案した.文献レビューにより職場環境等の改善を支援する8つの改善技術領域が整理された.全国の84事業場から延べ201件の事例の職場のストレス対策に役立った改善事例が収集できたので,これら事例から代表的な改善フレーズを抽出し,40項目からなるMHACL原案が作成された.現業職場の職員105名を対象としたMHACL利用の参加型研修会により,MHACLを用いて多様な改善提案を引き出せることが確認された.産業保健スタッフを対象としたMHACL利用のワークショップでは,MHACLの使用者とその受け手の明確化,使用手順と職域でのリスクアセスメント方法のマニュアル化,使用言語の平易化,などが必要と指摘された.これらの経験から,最終的に30項目で構成されるMHACLが作成された.それらの項目は,技術領域としてA)作業計画への参加と情報の共有,B)勤務時間と作業編成,C)円滑な作業手順,D)作業場環境,E)職場内の相互支援,F)安心できる職場の仕組みの6つの領域にまとめられた.現場ですぐ取り組めるメンタルヘルス改善アクション項目からなる職場環境改善用のチェックリストを作成した.今後チェック項目を利用した職場介入経験者との意見交換を行って,使いやすいチェックリストと利用方法を検討していく予定である. MHACLの利用によるストレス対策一次予防の推進による成果が期待される.<br> (産衛誌2007; 49: 127-142)<br>

収録刊行物

  • 産業衛生学雑誌

    産業衛生学雑誌 49 (4), 127-142, 2007

    公益社団法人 日本産業衛生学会

被引用文献 (13)*注記

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参考文献 (36)*注記

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