ラットのrearing/jumping回避条件づけ

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タイトル別名
  • ラット ノ rearing jumping カイヒ ジョウケンズケ Long
  • Long-Evans系ラットを用いて

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抄録

従来, 回避行動の研究においては, シャトル箱事態やレバー押し事態などが用いられてきたが, 最近, これらと異なる新しい実験事態として, 実験箱内の一定の高さを床と平行に走る不可視光線を切ることを反応とする回避学習事態が開発された。そして, Sprague-Dawley系のラットを被験体として用いて, 幾つかのparametricな研究を行なった結果, 床から15cmの高さのbeamを切ることを反応として要求した場合に, 通常の弁別逃避・回避事態においても, また, シドマン回避事態においても, rearing反応が回避反応として速やかに習得されることが示された (9, 10) 。このrearing回避の事態は, シャトル箱の事態と異なり, 反応を行なうことによって危険室から安全室に移行することができない。この意味において, この事態は, 回避条件づけがきわめて困難とされているレバー押し回避事態と同様であり, そのような事態でrearing回避行動が速やかに成立したことは, ラットにおける防御反応レパートリーを考える上で非常に興味深い事実である。<BR>本研究は, この新しく開発されたbeam切り事態でのparametricな研究の1つとして, 従来, Sprague-Dawley系のラットを用いて, 速やかにrearing回避行動が成立した手続きとまったく同様の手続きを用いて, Long-Evans系ラットによる弁別回避学習を検討するものである。また, 過去に回避学習の成績に系統差があることが知られているが (8), 本研究は, beam切り回避事態におけるLong-Evans系ラットの回避行動およびその反応形態を検討することにより, ラットの系統差に関する基礎的資料を提供するものである。<BR>新しい事態であるbeam切り回避事態において, 従来, Sprague-Dawley系のラットを用いて, rearing回避行動が成立することが示されている。そこで, 本研究では, rearing回避反応が習得されたのと全く同様の手続きを用いて, オスのLong-Evans系ラットを被験体として, 弁別逃避・回避訓練を行なった。結果は, Long-Evans系ラットにおいては, jumping回避反応が, 非常に速やかに習得されることを示し, 回避学習における, 系統に固有な防御反応のもつ役割について考察がなされた。

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