ヨモギホンヤドカリPagurus nigrofasciaの繁殖生態

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タイトル別名
  • Reproductive biology of the hermit crab Pagurus nigrofascia (Anomura: Paguridae)
  • Reproductive biology of the hermit crab

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説明

ごく最近,新種として記載されたヨモギホンヤドカリの分布と繁殖生態を,模式産地近くの函館湾葛登支の潮間帯において調べた.本種は潮間帯上部の潮線付近の転石域にパッチ状に分布し,季節的移動は見られない.4月から5月にかけて,雄が産卵直前の雌が入っている貝殻をはさみ持つ産卵前ガード行動が観察される.交尾・産卵直後にガード行動は終了する.抱卵雌は4月から2月の間に観察される.抱卵雌の出現時期とその後の卵の発達状態から,主な産卵期は5月で,雌は1年に1回産卵し,約9カ月間という長期にわたって抱卵することが明らかになった.交尾前ガード行動はホンヤドカリ属に普通に見られる行動であるが,長期にわたる抱卵期間は同地に生息する同属他種,あるいは他所に分布する同属のそれと比較しても非常に長く,きわだった繁殖特性といえる.このことは本種の属するホンヤドカリ属は,種類数の豊富さとともに,その繁殖特性にも多様な面が含まれることを示唆している.

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