LMT 解離を伴った Stanford A 型急性大動脈解離の1救命例

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タイトル別名
  • An Acute Type A Aortic Dissection Complicated with Malperfusion of the Left Main Coronary Artery

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抄録

症例は64歳女性.仕事中に突然の胸背部痛を自覚し救急要請.造影CT施行したところ左冠状動脈主幹部(LMT)へ及ぶStanford A型急性大動脈解離を認めた.CT直後からショックバイタルとなり,心電図にて心室頻拍および心室細動を繰り返したため,経皮的補助人工心肺装置(PCPS)を挿入し緊急冠動脈造影(CAG)を施行した.CAGおよび血管内超音波(IVUS)所見から解離によるLMTの灌流障害と診断した.LMTに対して冠状動脈ステント留置術(PCI)を行い,可及的速やかに再灌流を得た後に緊急手術を行った.エントリーはLMT上縁から約5 mmの位置まで及んでおり,左冠尖および無冠尖の逸脱による中等度大動脈弁閉鎖不全を認めたが,左右冠動脈を温存する形で中枢側断端を形成していた.交連部を吊り上げて上行大動脈人工血管置換術を行った.逆行性脳灌流下に手術を行い,SVG-LAD 1本バイパスを追加した.術後経過は良好で術後24日で退院となった.本症例ではLMT解離に対して,PCPSを挿入後PCIを行い,LMTを早期に再灌流することで心筋虚血を最低限にできたため救命可能であった.

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