DNAマーカーを用いた近交度評価に必要なマーカー数の検討

  • 小林 栄治
    国立研究開発法人農業·食品産業技術総合研究機構,畜産草地研究所
  • 西尾 元秀
    国立研究開発法人農業·食品産業技術総合研究機構,畜産草地研究所
  • 古川 力
    東京農業大学農学部

書誌事項

タイトル別名
  • Examination of the Number of Loci Necessary for Inbreeding Evaluation with DNA Markers
  • DNA マーカー オ モチイタ キンコウド ヒョウカ ニ ヒツヨウ ナ マーカースウ ノ ケントウ

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抄録

単純な家系構造を持つ実験家系を分析材料として,DNAマーカーの数がマーカーを用いた近交度評価に与える影響をシミュレーションにより検討した。個体ごとのマーカー近交度は,マーカー数の検討のための反復回数を増加させても,個体ごとのばらつきはほとんど変化しなかった。マーカー数を増加させると,マーカー近交度のばらつきは抽出ごとおよび個体ごとのいずれにおいても小さくなった。また,マーカー近交度による個体間の順序の逆転も少なくなった。一方,多型の程度が異なるマーカーから抽出したマーカー近交度と分析した全てのマーカーから算出したマーカー近交度との相関を検討したところ,一塩基多型マーカーを想定した対立遺伝子数が2個のマーカーからの抽出では,相関係数の平均が0.7を超えたのは70マーカーのときであり,0.8を超えたのは150マーカーのときであった。これに対し,マイクロサテライトマーカーを想定した対立遺伝子数が3個以上のマーカーでは,相関係数が0.7を超えたのは40マーカーのときであり,0.8を超えたのは70マーカーのときであった。さらに,対立遺伝子が4個のマーカーでは,0.7を超えたのは20マーカーのときであり,0.8を超えたのは40マーカーのときであった。以上ことから,マーカー情報を用いて個体ごとの近交度を比較的正確に評価するには,高多型のマイクロサテライトマーカーであれば少なくとも20個のマーカーが必要であり,一塩基多型マーカーであれば70個以上のマーカーが必要であることが示された。

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参考文献 (17)*注記

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