犬におけるミルベマイシンDの血中および組織内濃度

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  • Distribution of Milbemycin D in Plasma and Various Tissues in Dogs
  • イヌ ニ オケル ミルベマイシンD ノ ケッチュウ オヨビ ソシキナイ ノウド

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抄録

ミルベマイシソD (MD) 1mg/kgを1回経口投与して, 経時的に採血または臓器の採取を行い, 末梢血液中におけるDirofilaria immitisのmicrofilaria (以下mf) 数の推移と, 血漿, 脳, 脊髄液, 筋肉, 肺, 腎臓, 肝臓および脂肪組織におけるMD濃度の推移との関連を調べた.<BR>その結果, 血中濃度のピークは投与1時間後に現われ, その後急速に減少し, 120時間後には測定限界 (0.5ng/ml) 以下となることがわかった.末梢血液中のmf数はMDの血中濃度によく相関して減少し, 投与後120時間にわたる観察期間中に完全に陰転するにはいたらなかったものの, 著明に減少した.<BR>また, 血漿および各種臓器内における濃度は血漿≒脳<筋肉<肺<腎臓<肝臓<脂肪組織であり, 各組織における濃度のピークは6時間値に一致してみられた.脂肪組織におけるピーク時の濃度は1,490.9ng/gであり, 他組織 (95.7~377.8) に比べてかなり高濃度であり, また, 投与後240時間 (10日) を経過してはじめて検出限界 (5.0ng/g) 以下に低下し, 他組織に比べて長く組織内に残留することが明らかになった.このことは, MDはとくに脂肪親和性が高いことを示唆するものであろう.他方, 脊髄液中のMD濃度はピーク時においても1.3ng/mlという極めて低濃度であり, 脊髄液中への移行は少ないものと考えられた.

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