癲癇様発作を主徴とする黒毛和種牛の1例

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タイトル別名
  • A Case of Japanese Black Steer Characterized by Epileptic Seizures
  • テンカンヨウ ホッサ オ シュチョウ ト スル クロゲ ワシュウシ ノ 1レイ

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抄録

癲癇様発作を主徴とする11ヵ月齢の黒毛和種去勢牛の1例を, 臨床, 脳波および病理学的に検索した.<BR>左側臥で四肢を伸張して, 体躯の強直と間代性痙攣を示し, 眼球振盪, 瞳孔の散大, 対光および角膜反射の消失などを主徴とする発作が突然発現し, 覚醒後は起立し, 元気・飲思食欲とも正常に回復した.経過観察した28日間に, 11-18時間持続する上記症状の発作が, 15時間ないし6日間隔で7回観察された.第16病日の4回目の発作後は, 嗜眠状態を呈することが多く, 一般状態も悪化した.<BR>脳波所見では, 覚醒時で脳が活性化される状態でもβ波が極端に少なく, δ 波が圧倒的に優勢な深睡眠に類似したパワースペクトルが観察された.さらに, 光および音の刺激に対して, 脳波の波形にはほとんど変化がみられなかった.<BR>病理組織学的に, 小脳プルキンエ細胞の変性, 好酸性萎縮・融解および脱落が著明に認められ, 大脳では血管周囲の水腫および斑状水腫などが指摘された.<BR>以上の所見から, 突然の癲滴様発作の発現と痙攣性麻痺や眼球振盗などの症状は, 小脳プルキンエ細胞の病変に起因し, また嗜眠状態の持続は大脳の水腫性変化と関連があることが示唆された.

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