火山列島硫黄島から発見された日本未記録のチビアシナガバチ

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タイトル別名
  • Occurrence of Ropalidia marginata on the Volcano Islands, Japan (Hymenoptera, Vespidae)
  • 火山列島硫黄島から発見された日本未記録のチビアシナガバチ〔英文〕
  • カザン レットウ イオウジマ カラ ハッケンサレタ ニホン ミ キロク ノ チ

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抄録

火山列島を含む小笠原諸島では,人為的な移入種と考えられるセグロアシナガバチが20年近く前に小笠原父島から記録されたことがある以外,これまで社会性ハチ類の確かな記録はない.最近,小笠原総合事務所の松浦秀明氏から火山列島硫黄島(中硫黄島)で採集されたチビアシナガバチ1種の2♂1♀の送付をうけた.この種は大きな体サイズ,後胸背板の後方両角から前伸腹筋小孔に向かって走る2本の隆起線の存在,その他の特徴からRopalidia marginata (LEPELETIER)(ナンヨウチビアシナガバチ-新称-)であることが判明した.また,特徴ある斑紋から,北はマリアナ諸島から南はインドネシアとマライ半島の大部分に分布する亜種sundaica VECHTに属すると思われる.チビアシナガバチ属、とくに本種を含むIcariola亜属の種は,一般に分散性が強く島嶼部に分布を広げやすい性格をもっている.この点から考えると,硫黄島の個体群が自然分布の北限である可能性がある.しかし,一方でこの島が,戦中は日本軍によって,戦後は米軍によってマリアナ諸島と航空機・船舶で密接に結ばれていた(いる)ことは,人為導入の可能性を排除しない.硫黄島は現在移入種であるギンネムの林でその大半が覆われているといわれ,開墾地やブッシュを好む本種にとって好適な生息地となっている可能性がある.今後同島に行かれる方によって,さらに詳しい情報がえられることを期待したい.

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