黒島(沖縄県八重山諸島)の陸封潮溜りに生息するヌマエビの一種について

書誌事項

タイトル別名
  • AN ATYID SHRIMP LIVING IN ANCHIALINE POOL ON KURO-SHIMA, THE YAEYAMA GROUP, OKINAWA PREFECTURE
  • 黒島(沖縄県八重山諸島)の陸封潮溜りに生息するヌマエビの一種について〔英文〕
  • コクトウ オキナワケン ヤエヤマ ショトウ ノ リクフウ チョウタマリ ニ セ

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抄録

HOLTHUIS(1973)は,海岸から少し内陸に入ったところにあり,海水が地下から浸透し,潮汐によって水面が上下する潮溜りをanchialine Pool(陸封潮溜り)とよんでいる。このような環境に生息するエビ類は,現在5科10余種が知られ,そのほとんどのエビの体色は鮮かな赤色である。ここに報告したエビはAntecaridina lauensis(EDMONDSON)で,Fiji諸島(模式標本産地)・Europa諸島(マダガスカル西方)・Dahlak諸島(シナイ半島東部)・Hawaii諸島などで知られ,日本では南大東島からの記録(諸喜田,1975)があるのみであった。 このエビが発見された黒島の古井戸は,典型的なanchialine poolで,塩分は1979年12月7日の測定では13.22‰であった。このエビの第1・2・5胸脚はそれぞれヌマエビ科の特徴を示しているが,眼上棘を欠き,額角は短かくとがり無棘,眼柄は短かく,複眼は退化的,鰓は7対,外肢がすべての胸脚に存在することなどが種の特徴である。暗所では,多くの個体は鮮かな赤色であるが,明所では色素細胞の収縮により,体は黄赤色か半透明となるものがみられる。

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