インドネシア海域におけるカブトガニ類の分布について

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タイトル別名
  • GEOGRAPHIC DISTRIBUTION OF HORSESHOE CRABS IN INDONESIAN SEAS
  • インドネシア海域におけるカブトガニ類の分布について〔英文〕
  • インドネシア カイイキ ニ オケル カブトガニルイ ノ ブンプ ニ ツイテ エ

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抄録

文部省科学研究費海外調査(現地調査)により昭和54年度の予備調査に続き,昭和55年度は前後3回に分けて,インドネシア各地の海域のカブトガニの分布調査を行った。その結果,インドネシアの沿岸には,アジア産3種のすべてのカブトガニがみられ,それらはインドネシアの西部および中央部の沿岸に広く分布していることが明かとなった。それらの種は,地域により,単独であるいは2種または3種が混棲している。スマトラ島のマレーシア側,ボルネオ島のカリマンタン沿岸およびジャワ島のジャワ海側などには,それらのほぼ全域にTachypleus gigasとCarsinoscorpius rotundicaudaとが混棲し,それらの地域のうち,東カリマンタンおよびジャワ島東北側の沿岸では,上記2種のほかに,さらにTachypleus tridentatusが加わって,3種の混棲地となっている。著者ら(1980)は先に,コタキナバル(マレーンア・サバ州)に3種のカブトガニが混棲していることを明らかにしたが,今回発見された混棲地はポルネオ島の北側を迂回して,これと連っているものと思われる。一方,T. tridentatusはスマトラ島のインド洋側およびセレベス島の東北部沿岸に,それぞれ単独で生息している。このうち前者は今のところ他の地域のT. tridentatusの分布との連りが認められず,隔離されているように思われる点が興味深い。今回の調査では,メナド付近を除くセレベス島,バリ島,およひそれらの島々より東の海域では,カブトガニは全く確認できなかったことは極めて興味深いことである。とくにモルッカ諸島のカブトガニは古くから"Cancer mollucensis"や"Limulus moluccanus"などの種名にも名を残したほど有名なだけに,その存否は今後の調査により明らかにする必要があると思われる。

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