淡水又は海水に馴化させたウナギの稚魚および若魚の生残率について

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1.海産シラスは淡水に, また河川遡上クロコと養殖稚魚を海水に馴致させる方法と時間, 生残率の関係を実験した。<BR>2.海産シラスを淡水に移行させる場合, 比重3から0までの時間の長短が浸透圧調節の可否に重大な影響を与えていると思われる。比重3から純淡水域に至る時間が一昼夜以上であればほとんど斃死しない (95%生残率) が12時間では大部分斃死 (8%の生残率) する。天然状態でも同一速度で海から河川へ遡上するのではなく比重3から純淡水域に至る時間を慎重に一昼夜以上かけているものと推測される。<BR>3.魚体の大きさと生残率との関係をみると淡水域に遡上直後のシラスは, 体重が減少してそのままでも非常に弱く斃死率が高い。淡水域に遡上したクロコと淡水池で飼育中の稚魚を各比重海水ヘ一度に収容した場合, また比重0から4日目, 6日目, 8日目, 10日目にそれぞれ比重21にした場合も魚体が大きい程生残率が高い。海産シラスから平均全長9.29cm, 平均体重0.74gの稚魚にかけては体重が増加するとそれと並行して急速に浸透圧調節機能が備わって生残率が向上してき, それ以後は徐々に浸透圧調節機能が完成に向かい平均全長15.6cm, 平均体重3.8gでほぼ完全なものとなる。<BR>4.平均全長7.04, 9.29, 11.1cmの各サイズの魚体を用いて各比重海水へ収容し実験した結果, それぞれのサイズのなかで, 生残魚の全長が死魚の全長より大きい。<BR>全長11cm以下の稚魚ではそれぞれのサイズのなかでより魚体の小さいものが浸透圧調節機能が不十分で斃死し易いことがわかる。

Journal

  • Aquaculture Science

    Aquaculture Science 22 (2), 78-84, 1974

    Japanese Society for Aquaculture Science

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