ホッカイエビの養殖 (予報)

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抄録

ホッカイエビ, Pandalus kessleri CZERNIAVSKI, は千島, 樺太, 北朝鮮, 北海道の浅海域に棲息する寒海性種で, 我国では北海道東部が主産地である。本種は全長150mm, 体重25g位に達するやや大型のエビで, 同属のボタンエビ, P. nipponensis, やトヤマエビ, P. hypsinotus, とともに美味で知られている。これが岩手県山田湾にも棲息し, また零細的ではあるが戦前から漁獲されていたことも1971年来の調査によって明らかになり, その増養殖が望まれている。<BR>本種 (北海道産) の生態学的特性についてはKuboの報告がある。生理学的な面からはAotoとAoto & Nishidaが, とくに生殖について報告している。他方, Kurataは人工孵化幼生を飼育して各ステージの形態的特徴を詳述し, あわせて脱皮期間とその成長率に言及している。尾身・水島は若令期の成長について水温との関係を論じている。佐藤は青森県において北海道産エビの人工孵化飼育を行なっている。<BR>しかしながら, これらの報告では実際の増養殖技術の開発およびその展開には至っていない。著者等は先に本種の養殖の可能性について技術的に論じた。そこで述べた課題の一つである育成技術については網生簀養殖法を考案し, その実用化試験を行ってきた。本試験は1972年6月に始めたが, ここに報告する11月の段階で得られた知見は, 寒海性の本種が越夏したこと, そしてそのエビが秋に成熟し産卵に参加したことである。そこでこの過程における飼育環境の水温ならびに飼育エビの成長, 生残率, 生殖について述べる。<BR>本文に先立ち, 本研究に取りくむ機会を与えて下さった山田町水産商工課の方々に厚くお礼申しあげる。また適切な助言と援助を頂いた岩手水試, 土田健治専門研究員に感謝の意を表する。

収録刊行物

  • 水産増殖

    水産増殖 20 (2), 109-118, 1972

    日本水産増殖学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282679695656704
  • NII論文ID
    130003714229
  • NII書誌ID
    AN00124667
  • DOI
    10.11233/aquaculturesci1953.20.109
  • ISSN
    21850194
    03714217
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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