配合飼料を併用した大型水槽によるマダイの種苗量産

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タイトル別名
  • Mass seedling of red seabream, <i>Pagrus major</i> (T. and S.), using formula feed with food organisms in large-scale outdoor tanks

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抄録

1976年5月から7月にかけて, 長崎県水産試験場増養殖研究所の100t屋外円型水槽3面を用いて, 全長6-7mm以後配合飼料を併用したマダイの種苗生産を試み, 次の結果を得た。<br>1) 平均全長10mmの仔魚を約300万尾生産し, この時の生残率は約55-65%, 飼育水1t当りの生産尾数は約1万であった。<br>2) 平均全長が10mm (日令26) から同17mm (同36) の間に沖出しを行ない, その総数は170.2万尾 (ふ化仔魚の32.0%) であった。<br>3) 沖出し後は, 2×2×2m, 3×3×2m, 5×5×3mの小割網生簀で飼育を行ない, 平均全長30mm (日令46-54) の稚魚約50万尾生産した。沖出し直後の事故による斃死数 (43.1万尾) を除くと, 沖出し後の生残率は約38.6%で, ふ化仔魚からの生残率は12.5%となる。<br>4) 実験に供した配合飼料は, 日本農産工業K.K. と理研ビタミン油K.K. に試作依頼した2種で, 生物餌料のみの給餌区 (A槽) を対照に, 生物餌料の給餌量の約25%をそれぞれの配合飼料に代替えした実験区 (B・C槽) を設けた。そして, 配合飼料は仔魚が平均全長6-7mm (日令16) より沖出し終了まで給餌した。<br>5) 沖出しまでの実験区2槽における配合飼料の総給餌量はB槽で11.9kg, C槽で12.5kg, そして日間給餌量は共に0.2-1.3kgであった。<br>6) 配合飼料と併用して給餌したシオミズツボワムシ, ティグリオプス, 魚介肉ミンチ量は, B槽ではそれぞれ195億個体 (対照区の給餌量の75.6%), 5.5kg (50.0%), 9.8kg (33.2%), そしてC槽では203億個体 (82.9%), 6.9kg (62.7%), 15.3kg (51.9%) であった。<br>7) 配合飼料併用飼育による仔魚の成長, 生残率は対照区の場合と顕著な差は認められなかった。<br>8) 3水槽に由来する幼魚の標本群 (平均全長72-108mm) のX線による調査では, 奇形が16.3-44.0%の割合で認められ, その大部分が脊柱屈曲であった。

収録刊行物

  • 水産増殖

    水産増殖 25 (1), 18-26, 1977

    日本水産増殖学会

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