根室半島・納沙布岬におけるサケ定置網によるアザラシ類の 2002–2003年混獲数調査

  • 小林 万里
    東京農業大学生物産業学部アクアバイオ学科 特定非営利活動法人北の海の動物センター
  • 石名坂 豪
    環境省羅臼自然保護官事務所
  • 角本 千治
    特定非営利活動法人北の海の動物センター
  • 若田部 久
    特定非営利活動法人北の海の動物センター
  • 小林 由美
    北海道大学水産科学院海洋応用生物資源科学専攻
  • 清水 秋子
    特定非営利活動法人北の海の動物センター

書誌事項

タイトル別名
  • Survey of the number of seals incidentally caught by salmon trap nets along the coastal waters of the Nossapu Cap in Nemuro Peninsula from 2002 to 2003 compared with the survey from 1982 to 1983
  • 根室半島・納沙布岬におけるサケ定置網によるアザラシ類の2002-2003年混獲数調査--1982-1983年調査と比較して
  • ネムロ ハントウ ノサップ ミサキ ニ オケル サケ テイチアミ ニ ヨル アザラシルイ ノ 2002 2003ネン コンカクスウ チョウサ 1982 1983ネン チョウサ ト ヒカクシテ
  • ~1982–1983年調査と比較して~

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抄録

北海道東部から襟裳岬に至るゼニガタアザラシの1970年以来の個体数減少と納沙布岬周辺で混獲され大量死亡する個体の関係を知るために,1982年と1983年に納沙布岬周辺のサケ定置網におけるアザラシ類の混獲数調査が行われた(以下,80年調査).80年調査からちょうど20年後,海洋環境の変化や北海道東部のゼニガタアザラシの個体数が増加傾向にある中,アザラシ類の混獲数や特性の変化を知るために,過去と同じ要領で納沙布岬周辺のサケ定置網におけるアザラシ類の混獲数調査を2002年と2003年に実施した(以下,00年調査).その結果,80年調査と比較して,00年調査の結果では,歯舞漁協管内の15ヶ所の定置網におけるアザラシ類の混獲数は,ほぼ同数(80年調査272頭,00年調査261頭)で,また,アザラシ類がもっとも多く混獲される定置網の位置や混獲されたアザラシ類の種構成[最多がゼニガタアザラシ(Phoca vitulina stejnegeri)で,次いで多いのがゴマフアザラシ(Phoca largha)]に違いは見られなかった.しかし,全アザラシ類の混獲数に占めるゼニガタアザラシおよびゴマフアザラシの割合(80年調査ではゼニガタアザラシおよびゴマフアザラシの割合はそれぞれ77.6%,20.6%,00年調査では91.2%,7.7%)には有意な差が見られた.また,ゼニガタアザラシの混獲時期は,80年調査では9月中旬と11月中旬に混獲数が多くなる2山型を示したのに対し,00年調査では,定置漁業の開始直後の9月上旬に混獲数が多く,定置漁業が終わるにつれ減少する傾向が見られた.千島列島全域におけるゼニガタアザラシとゴマフアザラシの分布の中心は,択捉島以南の,特に歯舞群島・色丹域に集中して分布していると考えられているため,今後の保全管理を考える上には,歯舞・色丹グループと道東グループとの関係が重要と考える.<br>

収録刊行物

  • 哺乳類科学

    哺乳類科学 47 (2), 207-214, 2007

    日本哺乳類学会

参考文献 (12)*注記

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