アカネズミ(<i>Apodemus speciosus</i>)の自然交配による繁殖を誘導できる飼育交配手法

  • 酒井 悠輔
    宮崎大学フロンティア科学実験総合センター実験支援部門生物資源分野
  • 坂本 信介
    宮崎大学フロンティア科学実験総合センター実験支援部門生物資源分野
  • 加藤 悟郎
    宮崎大学フロンティア科学実験総合センター実験支援部門生物資源分野
  • 岩本 直治郎
    宮崎大学農学部動物環境管理学研究室
  • 尾崎 良介
    宮崎大学農学部動物環境管理学研究室
  • 江藤 毅
    宮崎大学大学院農学工学総合研究科
  • 篠原 明男
    宮崎大学フロンティア科学実験総合センター実験支援部門生物資源分野
  • 森田 哲夫
    宮崎大学農学部動物環境管理学研究室
  • 越本 知大
    宮崎大学フロンティア科学実験総合センター実験支援部門生物資源分野

書誌事項

タイトル別名
  • Rearing method to induce natural mating of the large Japanese field mouse, <i>Apodemus speciosus</i>
  • アカネズミ (Apodemus speciosus) の自然交配による繁殖を誘導できる飼育交配手法
  • アカネズミ (Apodemus speciosus) ノ シゼン コウハイ ニ ヨル ハンショク オ ユウドウ デキル シイク コウハイ シュホウ

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抄録

飼育下でアカネズミ(Apodemus speciosus)の自然交配による繁殖を誘導できる飼育交配手法を検討した.巣穴環境を擬似的に再現することで繁殖が誘導できるとの作業仮説のもと,ケージ内の床敷きを覆うように板を設置した中蓋あり飼育ケージを考案した.季節的な環境要因の影響を考慮するため,自然環境温度・自然光周期条件である半野外飼育施設において中蓋あり条件と中蓋なし条件で交配実験を行った.さらに環境条件が一定の室内飼育施設においても中蓋あり条件で交配実験を行った.その結果,半野外飼育施設の中蓋なし条件で雌個体の妊娠が確認されたのは11個体中1個体で1例のみだったのに対し,同施設での中蓋あり条件では9個体中4個体で6例の繁殖が誘導された.さらに室内飼育施設での中蓋あり条件では10個体中4個体で12例の繁殖が誘導でき,繁殖したペアの多くが複数回の繁殖を行った.半野外飼育施設の結果から,飼育ケージに中蓋を設置し疑似巣穴環境を再現することで,飼育下においてアカネズミの繁殖が誘導できることが示唆された.さらに繁殖の誘導が困難とされてきた室内飼育条件においても,繁殖に適した物理環境条件下であれば中蓋を用いることで繁殖を誘導できることが明らかとなった.これらのことから,飼育下における本種の繁殖誘導には飼育ケージに中蓋を設置するという簡便な手法が有効であると考えられる.<br>

収録刊行物

  • 哺乳類科学

    哺乳類科学 53 (1), 57-65, 2013

    日本哺乳類学会

参考文献 (22)*注記

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