鈍的腹部外傷後の遅発性小腸狭窄の1例

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of Delayed Small Bowel Stenosis Associated with Blunt Abdominal Trauma
  • -A Review of 58 Cases in the Japanese Literature-
  • ─本邦報告58例の検討を含めて─

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抄録

要旨:症例は50歳,女性,嘔吐を主訴に入院した。小腸造影ではTreitz靱帯の肛門側150cmに長さ5cmの狭窄を認めた。開腹歴はなかったため,詳細に病歴聴取をしたところ,症状発現の47日前に交通事故に遭い,シートベルトで下腹部を強く締め付けていたことが判明した。鈍的腹部外傷後の遅発性小腸狭窄と判断し,入院7日後に小腸切除術を施行した。狭窄部は硬化・萎縮し,全周性の潰瘍形成と,粘膜下組織および漿膜下組織での肉芽形成と線維化を認めた。狭窄の原因は,腸間膜損傷に基づく腸管の循環障害が全層性の虚血をきたし,それに引き続く器質的変化が2次的に小腸の狭小化をもたらしたものと考えられた。受傷時に明らかな臓器損傷を伴わない鈍的腹部外傷でも遅発性に小腸狭窄をきたす症例があることを患者に対して周知しておくことは重要である。

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参考文献 (13)*注記

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