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説明

1.つくねいも・春菊・りんごを用い,褐変成分,褐変酵素の性質について検討した結果,ポリフェノール酸化酵素の至適pHは試料により差異がみられ,つくねいもはpH6.6,りんごはpH4.0~5.8であった。春菊には本酵素が少なくとも4種類存在し,このうち2種はpH5.0付近でo-ジフェノールに特異的であり,他は至適pH6.0でチロシンにも活性を示した。つくねいも,春菊の酵素は食塩に対し抵抗性がみられたが,りんごの酵素は食塩により阻害された。いずれもジチオカルバミン酸,チオ尿素により阻害され一種の銅酵素と考えられる。2.春菊の精製酵素を用いて,各種阻害剤の作用機構について検索した結果,グルタチオン,システインによる褐変の阻害はアスコルビン酸と異なり,基質であるクロロゲン酸と黄白色の螢光をもつ複合体を形成することによると推定された。3.褐変機構について検討し,キノンまでの反応に酵素が関与すること,2,3-デハイドロイソドール-5,6キノンからメラニンヘ至る反応生成物によって,酵素が阻害されることが示唆された。おわりに,本稿の御校閲を賜わりました,元本学長谷川千鶴教授,ならびに本実験に御協力下さいました方々に心から感謝申し上げます。

収録刊行物

  • Science of Cookery

    Science of Cookery 12 (4), 216-222, 1979

    一般社団法人 日本調理科学会

被引用文献 (1)*注記

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