大腸内視鏡検査前処置の下剤(sodium picosulfate hydrate)により閉塞性大腸炎をきたした直腸癌の1例

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タイトル別名
  • A Case of Rectal Cancer with Obstructive Colitis Induced Laxative

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要旨:症例は75歳,女性。大腸内視鏡検査前処置の下剤(sodium picosulfate hydrate)を服用した後に腹痛とショックをきたし緊急入院となった。緊急内視鏡検査で直腸に亜全周性の腫瘍を認め,その口側には暗赤色に変色した著明な拡張結腸がみられ,閉塞性大腸炎と診断した。全身状態不良なため緊急手術は困難と判断し,減圧目的のため経肛門的イレウス管を留置した。その後全身状態の改善が得られたが,第17病日に穿孔をきたし緊急手術となった。病変は全結腸に及んでおり,結腸亜全摘術および回腸瘻造設が施行された。これまで本症に対するイレウス管留置の報告例はなく,多くの症例で緊急手術が行われているが,本症例において全身状態の回復を待つための対処療法としてイレウス管を留置したことは一定の意義はあったと考えている。大腸狭窄が疑われる患者に対しては,本症の発生を常に考慮した上で,慎重な下剤投与を行う必要がある。

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