経鼻内視鏡下切除術を施行した幼児髄膜脳瘤症例

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タイトル別名
  • Endoscopic Endonasal Surgery for Frontal Skull Base Meningoencephalocele in an Infant

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説明

脳瘤は先天的/後天的な頭蓋骨の欠損孔から頭蓋内容が頭蓋外に脱出して嚢瘤を形成した疾患で,脳瘤の内容が髄膜と髄液のみであれば髄膜瘤(meningocele),内部に逸脱した脳組織が含まれる場合を髄膜脳瘤(meningoencephalocele)と呼ぶ。今回,前頭蓋底から鼻腔へと脱出した髄膜脳瘤症例に対して,経鼻内視鏡下切除術を施行し,良好な経過を得ることが出来たので報告する。症例は1歳幼児。中耳炎にて受診した耳鼻咽喉科にて,右鼻腔内の腫瘤性病変を指摘され紹介受診となった。右鼻腔前方に赤色腫瘤性病変を認め,CT,MRIにて前頭蓋底前端部の骨欠損と,右鼻腔内に脳実質と連続性のある嚢胞構造を認め髄膜脳瘤と判断した。当院脳外科と共同で経鼻内視鏡下に髄膜脳瘤切除術,頭蓋底再建術を行った。2.7mmの細径の内視鏡にて鼻腔内を観察し,エンドループ®を右鼻腔前上方の脳瘤の茎部に誘導して結紮し,バイポーラにて焼灼しながら切離し,頭蓋底骨の欠損部を確認し最終的に基部で切離結紮した。鼻中隔粘膜を剥離翻転し頭蓋底を修復し手術を終了した。術後,髄膜炎・髄液漏や再発もなく経過良好である。鼻腔内に脱出する脳瘤のうち,本症例のように頭蓋欠損が小さな症例では,低侵襲で良好な視野が得られ,術後合併症のリスクの少ない経鼻内視鏡手術の良い適応であると考えられた。本症例の手術で使用したエンドループ®による結紮法は,低侵襲・安全性の面から非常に有用であった。

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