カトマンズ近郊の農村地区の食生活調査(第2報)

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  • Investigation of dietary Habits in Villages of Suburban Kathmandu (Part 2)

抄録

カトマンズ近郊の農村地区の栄養素摂取状況と食品摂取状況について研究し,以下のような結果を得た。(1)エネルギー量,たんぱく質量は充足しているもののミネラル,ビタミン類は不足していた。特に平均所要量に比して,その充足率は鉄70%,β-カロテン87%,ビタミンB2 69%であり,世帯間の差は大きい。C村よりB村の方が充足率がやや高い。この世帯間の差が大きいことは,特に穀類の摂取量が世帯によって差があり,最高796gから最低276gの輻があることに要因があると考えた。(2)エネルギー摂取構成比は,たんぱく質12.4%,脂質13.2%,炭水化物74.4%で,C村とB村とに差はない。(3)動たん比は15.7%±11.0で世帯間の差が大きく,最低で0%,最高が41%であった。これは特に乳類の摂取に影響されていると考察した。(4)穀類エネルギー比は68.8%±10.9で,世帯間の差は40%から90%まであった。(5)食事と軽食の栄養素摂取量を比較してみると各栄養素とも30~40%を軽食で摂取していることから,軽食の摂り方についても工夫が必要であると考えた。(6)栄養素摂取量の3日間の変動幅が大きい。特に軽食の変動が大きい。これは各回食事の喫食人数の増減があっても食材の量を加減することをせず,人数に関わらず1食毎に全部を食べ切る習慣が見られることに起因し,このことは残った食品の保存や調理器具などの影響があると思われた。(7)食品摂取状況は世帯平均1人1日当たりで穀類464g,その内その他の穀類が占める割合は30%である。大豆20g,その他の豆類が40gであった。乳類はバッファローミルクが主で,1人1日当たり251gで,他の動物性食品はほとんど摂取していない。C村は魚,肉,卵類の摂取量はB村よりも多く,乳類の摂取量はB村の方が多い。(8)食品群別摂取構成比は,穀類でエネルギー量の70%を摂り,たんぱく質については穀類から50%,豆類から25%,乳類で14%を摂っていた。(9)摂取食品数は平均で13種類で,摂取食品数が少ないほど動たん比が低く,穀類エネルギー比は高い。また食品数が少ないほど穀類摂取量が多く,しかも総穀類中のその他の穀類の摂取比率が高い。第1報で述べた通り,総穀類の摂取量が多いほどその他の穀類の摂取比率が高い。(10)その他の穀類の混合割合が高いほど不足しがちな鉄,ビタミンB2,β 一カロテンの摂取量が多い。現時点では,米にその他の穀類を混合して食べることが鉄,ビタミン,ミネラルの充足につながる。さらにこれに乳類を少しでも多く摂取することによって動たん比を上げることができ,改善の一方策と考える。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282679718436352
  • NII論文ID
    130004400975
  • DOI
    10.11402/cookeryscience1995.35.1_62
  • ISSN
    13411535
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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