咳嗽の頻度, 強度および痰の出しやすさと喀痰の性状(咳嗽の基礎と臨床)

この論文をさがす

説明

安定期にある慢性呼吸器疾患患者の痰を採取し, そのpHおよびレオロジカルな性状, カエル口蓋粘膜上の線毛輸送速度を計測した。同時に喀出に要した咳の頻度, 強度, 痰のだしやすさに関し, その程度を問診表に記載させ, 三段階にわけた。喀痰喀出時の咳の頻度が最も高い痰は, 他の痰に比較し流動性が強く, 粘性が低値であった。咳の強度が最も強い痰は, 他の痰に比較し流動性が強く, 降伏値が低値であった。痰のだしやすさが最も悪い痰は, 他の痰に比較し流動性が強く弾性が低値で, pHがアルカリに変位し, 線毛輸送能が低下していた。以上の成績は去痰療法を考えるとき咳の頻度が高く, 強度が強くおよび痰のだしやすさが悪い痰では, 粘液溶解薬は無効であり, 痰を硬化させる去痰薬が必要なことを示唆している。

収録刊行物

  • 気管支学

    気管支学 14 (8), 822-826, 1992

    日本呼吸器内視鏡学会

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ