特発性気管支動脈破裂の2例

  • 禹 哲漢
    独立行政法人労働者健康福祉機構関東労災病院呼吸器外科:神奈川県立循環器呼吸器病センター呼吸器外科
  • 田尻 道彦
    独立行政法人労働者健康福祉機構関東労災病院呼吸器外科
  • 植草 利公
    独立行政法人労働者健康福祉機構関東労災病院検査科病理部
  • 山形 達史
    独立行政法人労働者健康福祉機構関東労災病院呼吸器外科
  • 平居 義裕
    独立行政法人労働者健康福祉機構関東労災病院呼吸器内科
  • 山本 昌樹
    独立行政法人労働者健康福祉機構関東労災病院呼吸器内科

書誌事項

タイトル別名
  • Two Cases of Spontaneous Bronchial Artery Rupture

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説明

背景.既存肺に気管支拡張症や悪性疾患などの所見を病理学的に認めない,特発性気管支動脈破裂の2症例を経験したので報告する.症例1.61歳,男性.喀血で当院緊急入院.胸部CT上右S^5にスリガラス様陰影及び浸潤影を認めた.気管支鏡を施行したところ,右中葉支からの出血を認めた.その後も喀血が続いたため,緊急で右中葉切除術を施行した.病理組織学的所見で,右B^5末梢気管支の粘膜直下に拡張した気管支動脈の破裂像を認めた.症例2.48歳,男性.喀血で当院緊急受診.胸部CT上右S^1にスリガラス様陰影を認めた.気管支鏡を施行したが,喀血が激しく観察不能であった.緊急で気管支動脈造影を施行したところ,右上葉へ向かう分枝から造影剤の漏出を認めたため,マイクロコイルによる塞栓術を施行した.しかし,その後も喀血が続いたため,胸腔鏡下右上葉切除術を施行した.病理組織学的所見で,右B^1の粘膜直下に拡張した気管支動脈の破裂像を認めた.結論.臨床的に喀血の原因が特定できない,特発性肺出血とされる気道出血は,本症例のような特発性気管支動脈破裂が原因の一つと考えられた.

収録刊行物

  • 気管支学

    気管支学 29 (4), 227-231, 2007

    日本呼吸器内視鏡学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (11)*注記

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