肋軟骨炎と胸水で発症した再発性多発軟骨炎の1例

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タイトル別名
  • A Case of Relapsing Polychondritis Presenting with Costochondritis and Pleural Effusion

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説明

背景.再発性多発軟骨炎(relapsing polychondritis ; RP)は,軟骨の炎症と破壊により多彩な症状を示す比較的稀な全身性疾患であり,早期診断は容易でない場合が多い.症例. 67歳女性.胸痛と発熱を主訴に入院となった.症状は肋軟骨炎が主体でRPを疑ったが,耳・鼻など典型的症状は認めず,滲出性胸水を合併していた.その後気道症状も出現, CTや気管支鏡で気道病変を認め,右肋軟骨生検後にステロイドパルス療法施行となり,プレドニゾロン(PSL)40mgで継続し症状は改善した.生検で軟骨炎の所見は得られなかったが, Damianiらの診断基準を満たしRPの診断となった. PSL 11mgまで漸減した退院8か月後に発熱や嗄声,咽頭痛,耳介軟骨痛が出現し再入院となり,耳介軟骨生検を施行し軟骨炎の組織診断を得た.ステロイドパルス療法施行後, PSLにdapsoneを併用し症状は改善した.初回入院時のCTで末梢に索状影を認め,区域〜亜区域レベルの気管支軟骨の炎症により,潜在性により末梢の気道病変が生じていた可能性も考えられた.結論. RPにおいて,軟骨破壊を防ぐ目的では早期に診断・加療を行う必要があるが,胸痛や胸水などの稀な症状で発症する症例もあることを念頭におく必要がある.

収録刊行物

  • 気管支学

    気管支学 35 (4), 402-408, 2013

    日本呼吸器内視鏡学会

参考文献 (20)*注記

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