内科的治療不応の肺膿瘍が疑われたが,摘出標本で器質化肺炎を伴った肺多形癌と判明した1例

  • 大西 康貴
    独立行政法人国立病院機構姫路医療センター呼吸器内科
  • 中原 保治
    独立行政法人国立病院機構姫路医療センター呼吸器内科
  • 白石 幸子
    独立行政法人国立病院機構姫路医療センター呼吸器内科
  • 加藤 智浩
    独立行政法人国立病院機構姫路医療センター呼吸器内科
  • 鏡 亮吾
    独立行政法人国立病院機構姫路医療センター呼吸器内科
  • 勝田 倫子
    独立行政法人国立病院機構姫路医療センター呼吸器内科
  • 横井 陽子
    独立行政法人国立病院機構姫路医療センター呼吸器内科
  • 水守 康之
    独立行政法人国立病院機構姫路医療センター呼吸器内科
  • 塚本 宏壮
    独立行政法人国立病院機構姫路医療センター呼吸器内科
  • 守本 明枝
    独立行政法人国立病院機構姫路医療センター呼吸器内科
  • 佐々木 信
    独立行政法人国立病院機構姫路医療センター呼吸器内科
  • 河村 哲治
    独立行政法人国立病院機構姫路医療センター呼吸器内科
  • 望月 吉郎
    独立行政法人国立病院機構姫路医療センター呼吸器内科

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of Pulmonary Pleomorphic Carcinoma Complicated by Lung Abscess and Organizing Pneumonia, Which Had Been Interpreted as Medically-intractable Severe Abscess and Pneumonia

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説明

症例.症例は67歳男性.検診で右肺門部腫瘤影を指摘されたため前医を受診.胸部CTで右S^3に47mmの腫瘤影を認め,気管支鏡下生検が施行されたが確定診断が得られず,当院に紹介された.当院受診時に38℃台の発熱と白血球, CRPの上昇,胸部CTでは前医初診時より腫瘤影が増大し,造影で内部低吸収域が認められ,さらに周囲に浸潤影の出現をみた.腫瘤影の超音波ガイド下経皮穿刺によりGroup C Streptococcus, Streptococcus gordoniiを検出したため,肺膿瘍とそれに随伴する細菌性肺炎と診断し, piperacillin/tazobactamを2週間投与したが解熱せず,胸部CTで周囲浸潤影の増悪を認めた.膿瘍とその周囲の感染症が内科的には制御不可能と判断し,さらに悪性疾患が潜在している可能性も考えられ,右上葉切除術を施行した.病理診断にて巨細胞と紡錘細胞からなる腫瘍を認め,肺多形癌と診断した.また腫瘍内部には強い壊死がみられ,腫瘍周囲には広範な器質化肺炎像が認められた.結論.本症例は気管支鏡下肺生検を契機に腫瘍内感染を発症した肺多形癌症例で,腫瘍周囲に器質化肺炎を伴っていた.多形癌と肺膿瘍の鑑別,膿瘍周囲の細菌性肺炎と器質化肺炎の鑑別など,示唆に富む症例である.

収録刊行物

  • 気管支学

    気管支学 37 (1), 99-105, 2015

    日本呼吸器内視鏡学会

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