Hill-Sachs損傷の多くは完全脱臼時に発生する

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説明

外傷性肩関節前方脱臼や亜脱臼を繰り返す事がHill-Sachs損傷(HS)の発生や大きさに与える影響を検討した.対象は鏡視下Bankart修復術を施行し,術前に3D-CTを撮影していた124肩で,3D-CTでHSの発生頻度を調査(初回調査)し,関節鏡所見(AS)と比較した.次に,ASを基に再調査した3D-CTデータを用い,HSの大きさを計測し,脱臼や亜脱臼回数との関連性を調査した.HSは初回3D-CT調査で76肩,ASで104肩に認められ,再調査では軟骨性を除く骨性のHS 89肩全例を確認できた.初回例での脱臼群と亜脱臼群の比較では,脱臼群で発生頻度が有意に高く,大きさも有意に大きかった.さらに,反復例も含めた検討では,1回でも脱臼することによりHSの発生頻度は上昇し,かつ,大きなHSが発生していた.一方,脱臼・亜脱臼総回数や亜脱臼回数については有意差がなく,脱臼することがHSの発生に重要であることがわかった.

収録刊行物

  • 肩関節

    肩関節 38 (3), 835-839, 2014

    日本肩関節学会

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