How Does Glutamine Work in Clinical Conditions?

DOI Web Site Open Access
  • Tazuke Yuko
    Pediatric Surgery,Osaka University Graduate School of Medicine
  • Wasa Masafumi
    Pediatric Surgery,Osaka University Graduate School of Medicine
  • Okuyama Hiroomi
    Pediatric Surgery,Osaka University Graduate School of Medicine

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  • 基礎研究からみたグルタミンの臨床投与効果についての考察

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【はじめに】近年、グルタミン(Gln)の投与により、外科術後の患者における感染症が減少や入院期間 の短縮、重症患者や熱傷患者における合併症の減少や死亡率の低下、化学療法などの下痢に対する改善 効果など、臨床における有用性が報告されている。今回、これら臨床におけるGln の作用メカニズムを、 我々の基礎研究結果より検討した。<br> 【実験1】虚血再灌流腸管に対する作用について:中心静脈ルートおよび経胃的十二指腸チューブを留 置した虚血再灌流ラットモデルを作成した。Gln は点滴よりAla-Gln として投与した。gln 投与群では 虚血再灌流後の組織学的障害の減少と腸管粘膜透過性の抑制を認めた。また、虚血再灌流群においては 腸管粘膜のglutaminase 活性は上昇しており、かかる病態でのGln の腸管粘膜における利用亢進が示唆 された。<br> 【実験2】化学療法中の下痢に対する効果について:Cisplatin(Cis)を投与し、腸管粘膜障害モデルを 作成した。Cisplatin 投与直後よりGln の経口投与を開始すると、空腸絨毛高は有意に維持された。ま たGln 投与によりCis による絨毛上皮の脱落も軽減した。そこで、腸管粘膜の細胞周期に関連因子 (PCNA) に注目し、Cis により惹起された腸管粘膜障害におけるGln の投与効果を検討した。 Proliferating cell nuclear antigen(PCNA)は、細胞周期のDNA 合成期に核内に出現し、DMA 損傷修 復過程のDNA 複製後にもあらわれる因子である。組織修復力に注目すると、Gln 投与によりPCNA が、 投与1 日目より有意にCis により障害を受けた小腸の陰窩に発現しており、粘膜障害に対する粘膜修復 作用時に直接Gln が使用されている可能性が示唆された。一方、Gln トランスポーターの発現は、Gln 投与の有無にかかわらず3 日目に有意に発現し、Gln 投与でより改善した。<br> 【結語】虚血再灌流後にGln の需要は亢進しており、需要に応じたGln 投与は臨床的に意義があると思 われる。Gln の投与効果は、Gln の組織内へのとり込みによる抗酸化作用と考えられていることが多いが、 我々の実験でGln は、抗酸化作用よりも投与後早期より作用する組織修復のサポート因子であり、結果 的に粘膜透過性亢進の正常化やバクテリアルトランスロケーションの回避に寄与している可能性がある と思われる。

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