<b>超音波ガイド下注射を用いた痛風MTP関節炎治療の有用性</b>

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  • <b>Ultrasound-guided injection for treatment of gouty attack in metatarsophalangeal joint</b>

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説明

<p>背景:高尿酸血症・痛風のガイドライン第2版では,痛風患者で膝,肘関節などに水腫を伴う関節炎を有する場合には,関節炎を除去した後に副腎皮質ステロイドを注入することを推奨している.しかし,MTP関節炎に対する記載はない.今回,急性の痛風MTP関節炎に対して,超音波ガイド下ステロイド注射を施行し,結果を検討したので報告する.</p><p>対象:2013年9月から2015年8月までに当院で急性の痛風MTP関節炎と診断した17例20関節を対象とした.全例男性,平均年齢は55.6歳,第1MTP関節18関節,第2MTP関節2関節であった.</p><p>方法:MTP関節の超音波長軸像を確認し,交差法で超音波ガイド下注射を施行した.注射針は27G針を使用した.針先が明らかに関節腔内にあるもの,または関節内で薬剤の流れを確認できたものを成功例とした.ステロイドはトリアムシノロン8-14mg(0.2-0.35ml)またはデキサメタゾン1.65-3.3mg(1.0-2.0ml)を使用し,1%メピバカイン0.25-0.5mlを混注した.超音波ガイド下注射の成功率と,痛みが軽減した時期を検討した.</p><p>結果:超音波ガイド下注射の成功率は100%であった.痛みは注射後1日目までに50%,注射後2日目までに65%,4日目までに95%の関節で軽減した.</p><p>考察:痛風MTP関節炎に対する超音波ガイド下ステロイド注射の臨床報告はない.超音波ガイ ド下MTP関節腔内注射の報告は,渉猟し得た範囲では2009年のReachらの報告が最初である.その成功率は100%であったと報告している.本研究の結果もこれと同等であった.Koskiらによると,MTP関節腔内注射をランドマーク法で施行した場合,その成功率は57%にすぎない.MTP 関節は比較的小さい関節であり,ランドマーク法で正確に関節内に注射することは困難である.注射時の痛みが懸念されるが,細い27G針を使って関節腔内に愛護的に注射できること,および薬液の容積を少なくすることで,特に問題なく手技を完遂できると考えられた.</p><p>結論:本法は有用である可能性が示唆された.</p>

収録刊行物

  • 痛風と核酸代謝

    痛風と核酸代謝 40 (2), 131-136, 2016

    一般社団法人 日本痛風・尿酸核酸学会

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