1.心房細動に対するワルファリン療法における日本人の至適INR―J-RHYTHM Registryからの報告―

書誌事項

タイトル別名
  • The Optimal Intensity of Warfarin Therapy in Japanese Patients with Atrial Fibrillation --A Report from the J-RHYTHM Registry--

この論文をさがす

説明

我が国の心房細動治療(薬物)ガイドライン(2008年改訂版)では,非弁膜症性心房細動例の脳梗塞発症予防のため,ワルファリン療法における至適INRは70歳未満で2.0~3.0,70歳以上では1.6~2.6を推奨している.しかし,J-RHYTHM Registryの登録時にワルファリン服用中であった6,932例のINRは,1.6未満が25.4%,1.6~2.59が66.0%,2.0~2.99が35.4%で,70歳未満の例においても70歳以上の例と同様に1.6~2.6が高率であった.我が国の基幹病院においては,年齢にかかわらずINR1.6~2.6を目標に治療が行われている現状が見てとれた.2年間の追跡期間に血栓性イベント(症候性脳梗塞,全身性塞栓症)が140例,入院を要する出血性イベントが157例発生した.観察期間終了時(イベント発症例ではイベント直近)のINRレベル別に1.6未満,1.6~2.0未満,2.0~2.6未満,2.6以上の4群に分けると,血栓性イベントは3.8%,1.1%,0.6%,1.3%(p<0.001),出血性イベントは1.2%,1.1%,1.9%,8.2%(p<0.001),両イベント発症率の合計はINR1.6~2.6で低率で,70歳未満の例においても同様の分布であった.これらの結果より,若年者や一次予防例も含めて,出血性イベントを最小限に抑えつつ血栓性イベントを予防できる適切なINRは,1.6~2.6が妥当と考えられた.

収録刊行物

  • 心電図

    心電図 33 (1), 25-31, 2013

    一般社団法人 日本不整脈心電学会

被引用文献 (1)*注記

もっと見る

参考文献 (13)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ