Bezold膿瘍を形成した隠蔽性乳様突起炎の1例

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タイトル別名
  • A case of masked mastoiditis with Bezold's abscess

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Bezold膿瘍は中耳炎の頭蓋外合併症として乳様突起から骨瘻孔を経て頸部膿瘍を形成する病態であり、近年では稀な疾患となっている。今回、健康保険未加入、生活保護未申請のため医療費の支払いを心配して医療機関を受診せずに放置された中耳炎を基礎として3ヵ月後に発生したBezold膿瘍の1例を経験した。症例は30歳女性、右頸部腫脹と頸部痛を主訴に当科受診した。頸部超音波検査で右頸部に膿瘍を疑う領域が認められた。右耳鏡所見では外耳道壁の腫脹があったが、明らかな耳漏や鼓膜穿孔は認めなかった。CTでは右頸部膿瘍に加えて乳様突起と後頭蓋窩の骨欠損を認め、Bezold膿瘍と診断した。また、HbA1c10%と未治療の糖尿病も認められた。血糖コントロールを開始し、緊急乳突削開術と膿瘍腔開放術を施行した。術後はABPC/SBTを投与したところ全身状態・混合性難聴共に軽快、第22病日退院となった。隠蔽性乳様突起炎を経て発生したBezold膿瘍と考えられた。術後6ヵ月の時点で再発なく経過している。

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参考文献 (13)*注記

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