小児での鼓室形成術I型におけるcartilage graftと術後聴力

書誌事項

タイトル別名
  • Clinical and theoretical investigations of cartilage graft in type 1 tympanoplasty in children

この論文をさがす

説明

軟骨板を用いて鼓室形成術I型を行った5~15歳の慢性中耳炎19例19耳について検討した。18耳では鼓膜は閉鎖したが、1耳では再穿孔があった。術前の3分法平均聴力レベルは平均27.6dB、術後の3分法平均聴力レベルは平均18.9dBであった。術後の平均聴力レベルは19例すべてが30dB未満となり、日本耳科学会の術後聴力判定基準では全例成功となった。軟骨板を用いた場合、鼓膜面の音響インピーダンスが大きくなって中耳伝音特性および聴力が悪化する可能性がある。しかし、鼓膜形成で軟骨板を用いた場合と筋膜を用いた場合を比較すると術後の聴力に有意な差はないものとされており、今回の軟骨板を用いた結果でも術後聴力は良好であった。これを検証するためにPeakeらの中耳モデルをもとに検討を行った。蝸牛窓の遮音効果を計算に含めたモデルで考えれば、軟骨板を用いて鼓膜面のインピーダンスが増加しても中耳伝音特性が悪化しない理由は説明しうるものと考えられた。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ