不整脈疾患におけるホルター心電図に対するイベントレコーダーの費用対効果分析

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タイトル別名
  • Cost-effectiveness Analysis of Event Recorder as Compared with Holter Monitoring in Patients with Suspected Arrhythmias

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説明

近年携帯型のイベントレコーダーが普及しつつあるが,ホルター心電計と比較した費用対効果分析はほとんどなされていない.そこで今回不整脈の精査目的に受診した症例を対象に,ホルター心電計に対する医療用イベントレコーダーの費用対効果分析を行った.費用は各々の保険点数から算出し,効果は治療対象となる不整脈が診断された患者数とした.2007~09年までに来院した連続107名の不整脈が疑われる症例に,ホルター心電計(48名)かイベントレコーダー(44名)のいずれかを割り付けた.残り15名はホルター心電計を割り付けたものの治療対象となる不整脈が診断されなかったためイベントレコーダーを貸与した.症例によっては不整脈の診断に至るまで複数回の検査を行ったが,全対象者でホルター心電図とイベントレコーダーの検査回数に有意差はなかった.またそれらの平均コストはイベントレコーダーがホルター心電図検査より低く(p<0.001),患者一人当たりの不整脈診断に要した総費用も同様であった.一方不整脈の検出率はホルター心電計が39.6%,イベントレコーダーが56.8%で有意差はなかった(p = 0.39).以上より今回使用したイベントレコーダーはホルター心電図検査に比較して明らかに費用対効果に優れ,動悸などの症状が強い割に不整脈発作の頻度が少ない症例に対してより医療経済的であると考えられた.

収録刊行物

  • 心電図

    心電図 30 (3), 216-224, 2010

    一般社団法人 日本不整脈心電学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (13)*注記

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