心筋梗塞におけるQ波の消失  異常Q波の経時的変化と異常Q波消失例のベクトル心電図

書誌事項

タイトル別名
  • Disappearance of Q wave in myocardial infarction. Time-course change of abnormal Q-wave and vector electrocardiograms of abnormal Q wave disappearing cases.
  • ―異常Q波の経時的変化と異常Q波消失例のベクトル心電図―

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説明

定型的な所見を示した貫壁性心筋梗塞293例を, 平均17.6ヵ月間追跡調査し, 異常Q波の消失率を検討した.生命表分析を用いた異常Q波の累積消失率は, 3ヵ月4.3%, 6ヵ月8.3%, 1年11.5%, 2年16.2%, 3年21.4%であり, 6ヵ月以内の消失率が最も高く, 1年以降は, 年間約5%の消失率であった.異常Q波の消失した36例のうち15例 (42%) では, Frank誘導ベクトル心電図で心筋梗塞を強く示唆するQRS環の異常変形が認められた.異常Q波が消失したQRS環にも心筋梗塞を疑わせる所見のない例 (I群) , 異常Q波が消失してもQRS環の変形から心筋梗塞を疑いうる群 (II群) , 異常Q波存続例 (III群) を比較すると, 冠動脈病変の重症度には差がみられず, 左室造影における左室壁運動障害の程度はIII群, II群, 1群の順であり, 1群とIII群, II群とIII群の差は有意であった.すなわち, 異常Q波およびQRS環の異常の有無と左室心筋障害の重症度とは, ある程度平行関係を示した.

収録刊行物

  • 心電図

    心電図 7 (3), 279-285, 1987

    一般社団法人 日本不整脈心電学会

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