心臓発生の総論―刺激伝導系の発生を中心に

  • 白石 公
    国立循環器病研究センター小児循環器部

書誌事項

タイトル別名
  • Embryonic Development of the Heart : Focusing on Cardiac Conduction Tissues

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説明

心臓刺激伝導系細胞は形態学的にも電気生理学的にも作業心筋とは性質が異なるが,胎生期における発生の過程も作業心筋と異なる.また,刺激伝導系細胞は原始心臓管に存在する未熟な心筋細胞から分化するが,洞房結節から左右脚主幹部までの中枢刺激伝導系と,Purkinje線維にあたる末梢刺激伝導系では,その発生過程が異なる.これらを説明する仮説として,中枢部における古典的な形態形成を説明する(1)ring theory,刺激伝導系の各部分の分子発生学的メカニズムを説明する,(2)recruitment model,(3)early specification modelが提唱されている.近年,これら胎児期の刺激伝導系組織の遺残が臨床的不整脈の発症と関連があることが示唆されるとともに,心臓の形態形成や刺激伝導系細胞の分化に関連する転写因子の遺伝子変異が,不整脈の発症と関連することも明らかになってきた.心臓発生学の知見が,臨床不整脈の発症や治療に関連する重要な課題になる可能性が議論されている.

収録刊行物

  • 心電図

    心電図 35 (1), 53-60, 2015

    一般社団法人 日本不整脈心電学会

参考文献 (20)*注記

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